ファンクショナルトレーニングの条件のうち、大切な考え方の一つに、「Joint by joint理論」というものがあります。この理論を理解できていない人が多いから、「肩こり」「腰痛」「膝の痛み」「足首の痛み」などのスポーツ傷害が起こったり、年を重ねることによってこの症状を引き起こす人が多いのです。
今日は、その理論をお伝えしていきます。
モビリティ関節とスタビリティ関節
人間の体の関節は、モビリティ関節とスタビリティ関節という2種類に分けられます。
モビリティ関節は、簡単に言うと「体を動かすために作用する関節」のことで、スタビリティ関節は「体を安定させるための関節」のことを指します。
Joint by joint理論で大切なことは、この二つの関節を、機能通りに使うということです。
モビリティ関節(Mobility joint):モビリティ関節は、身体の部位を自由に動かすための関節で、柔軟性と可動性を提供します。これらの関節は通常、大きな動きを可能にするために設計されています。例えば、肩や股関節がモビリティ関節の良い例です。これらの関節は複雑な構造を持ち、骨、軟骨、靭帯、筋肉、および滑液などが協力して動きをサポートしています。モビリティ関節は、日常の活動や運動などで必要な幅広い動きを可能にする重要な役割を果たしています。
スタビリティ関節(Stability joint):スタビリティ関節は、身体の安定性を維持し、力の伝達を効果的に行うために設計された関節です。これらの関節は主に強度と堅牢性を重視し、大きな動きよりも安定性を提供する役割があります。例えば、膝や肘がスタビリティ関節の典型的な例です。これらの関節は、強靭な靭帯や強化された軟部組織に支えられており、通常はある程度の制限つきで動くことができます。スタビリティ関節は、体重の支持や重要な運動時において安定性を提供し、急激な動きや外部からの負荷に対して身体を保護します。
典型的なエラー(股関節)
例えば、ジャンプをする動きを行う際に、このような形で膝関節の屈曲・伸展をする選手がいた場合、これは、スタビリティ関節である膝関節を「ジャンプ」という動くために使っていることになります。
これが典型的なエラー動作です。
本来ジャンプをするという動作は、モビリティ関節である股関節と足関節を使用し、屈曲動作を入れ、股関節・足関節の伸展をするのが正しい身体動作です。
これは、そもそも脳の認知エラーからきている現象のため、正しいエクササイズを脳に学習させることで、エラーを抜く必要があります。そのために、コレクティブエクササイズと言われる、正しい動作に修正するエクササイズを行うことがとても重要です。
典型的なエラー(胸椎・腰椎)
キャット&ドッグと言われるエクササイズがありますが、上の図を見ていただくと分かるように、モビリティ関節である胸椎をグネグネと動かすというのが正しいエクササイズです。
しかし、このキャット&ドッグはコレクティブエクササイズであるにも関わらず、できていない人が多くて、動きのエラーとしては、このように、腰椎が大きく動いてしまうパターンが多いです。
腰椎はそもそもスタビリティ関節のため、可動域はそんなに大きくとることはできない仕組みにできています。しかし、このように腰椎を大きく動かすようになっているということは、普段からモビリティ関節である股関節と胸椎が動いていない可能性が高いです。
このキャット&ドッグは、胸椎を動かす必要があるのですが、この時に、正しい動きとして、股関節を伸展させる動きを入れることが大切です。
股関節を伸展させると、腰椎はスタビリティ関節としての動きをしやすくなり、胸椎がモビリティ関節としての役割を果たしやすくなります。これがキャット&ドッグのコレクティブエクササイズとしての形です。
まとめ
「痛み」は、脳から発せらる神経伝達です。そのため、骨や靭帯、神経に損傷をしている場合でなければ、コレクティブエクササイズを行い、脳がその動きは安全だと認知することができれば、痛みは自然となくなることも多いです。
腰痛の80%は、ドクターの診断でも原因がわからないと言われています。それは、この関節のコレクティブによって解決できるものも数多くあるということです。
各関節が正しく機能を果たしているかを確認していくということは、痛みのない健康な生活を営んだり、スポーツ傷害を防ぐために、非常に重要だということなのです。
SNSでコレクティブエクササイズを発信していますので、保存して正しくやってみてくださいね。
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